サイコオンコロジーグループのページにようこそ。ここでは、私たちサイコオンコロジーグループの活動をご紹介いたします。
サイコオンコロジーとは?
がんは1981年にわが国の死亡原因のトップとなり、以降もその死亡者数は増加傾向にあります。現在、がんによる死亡者数は32万人を超え、総死亡の約30%を占めています。また、がんに罹患する患者の数も年々増加していることが知られており、1996年には約47万人の方ががんに罹患していますが、2015年には約89万人の方が罹患すると推定されています。
このように、がんは命を脅かす病気ではありながら、とても身近な病気です。その一方で、身体や臓器は診ることに長ずる一方で、ともすると「人」を診ることを疎かになりがちな医療に対して問題提起がなされるようになり、がんの患者に対しても、身体的側面のみならず心理・社会学的側面も含めて包括的なケアを提供する必要性が認識されるようになってきました。
サイコオンコロジーは、軽視されがちであった「がんが患者や家族の心に与える影響」と「心や行動ががんの罹患や生存に与える影響」という2つの大きな側面を明らかにすることを目的として生まれた新しい臨床/学問領域です。
サイコオンコロジーは、がん患者のQOLの向上を図るためにとても重要な領域ですが、この領域を専門とする組織を有する大学、病院は数えるほどしかないのが現状です。私たちは日本有数のサイコオンコロジーの情報発信地となるよう努力をしています。
臨床活動
名古屋市立大学病院こころの医療センターとして、がんやその他の身体疾患のために当院に入院中の患者に関する精神科コンサルテーションに対して、専門チームを結成して対応しています。現在はスタッフ2名、常勤大学院生1名、レジデント2-4名で、専門チームを構成しています。さらに、緩和ケアチームに所属する臨床心理士1名も活動に加わっています。
2007年度の依頼件数は約580件であり、常時、30-50名の患者のこころのケアをチーム医療の一員として担当しています。この依頼件数は当院入院中の全患者の6%に相当し、病床数あたりのコンサルテーションの割合はわが国でも屈指のものです。これらの依頼のうち、がん患者の割合は約50%です。
また2007年度からはサイコオンコロジーチームの活動を発展させる形で緩和ケア医、看護師、薬剤師などが加わり、緩和ケアチームとしての活動も開始し、現在活動範囲の拡充を図っています。
私たちはより良い臨床活動を提供するために、またこれらの臨床活動がより良い教育の機会となるよう、ケースカンファレンスの充実を心がけています。特に毎月第4木曜日19:00からは、テレビ会議システムを用いて、がんの患者の心の問題に関する多地点症例検討会を開催しています。この症例検討会には、名市大のほかに、国立がんセンター中央病院、国立がんセンター東病院、九州がんセンター、広島大学病院、呉医療センター・中国地方がんセンターなどの施設が参加しています。
あたたかさ、思いやりを忘れることなく、そして患者さんお一人お一人に、高度で科学的な医療を提供することができるよう、スタッフ全員が日々研鑽を重ねています。
研究活動
私たちのグループは、日々の診療で疑問に思った点を明らかにし、これからのがん医療に貢献するために、臨床研究にも積極的に取り組んでいます。また国立がんセンターや聖隷三方原病院など、国内有数のサイコオンコロジーおよび緩和ケアの研究グループとの共同研究も行っています。これらの成果として、毎年10本程度の英文原著論文を発表しています。私たちの研究成果についてはこちらをご覧下さい。
現在取り組んでいる研究としては、以下のようなものがあります。
・ がん患者の心理社会的ニードに関する研究
・ 精神症状緩和の阻害要因に関する研究
・ がん患者に対する新たな心理社会的介入法の開発に関する研究
・ がん患者のせん妄の早期発見および有用なマネージメント法開発に関する研究
・ がん患者のうつ病診断における身体症状の有用性に関する研究
なお定例の研究会として、毎月、第2、第4水曜日の18:30から、サイコオンコロジー研究会を開催しています。そこではサイコオンコロジーを中心に、腫瘍学、緩和ケア、コンサルテーション・リエゾン精神医学などの領域について、47誌の英文学術雑誌の抄録を通読することを通して世界のアップデートな情報を共有するなどの活動を行っています。本研究会には、サイコオンコロジーや緩和ケアに関心をもつ、院内、院外の様々な職種の方(精神科医、薬剤師、看護師、心理士、ソーシャルワーカーなど)が参加しており、診療科/職種横断的な意見交換の場となっています。
教育活動
グループメンバーに加え、内富庸介客員教授(国立がんセンター東病院臨床開発センター精神腫瘍学開発部・部長)、森田達也非常勤講師(聖隷三方原病院緩和支持治療科・部長)などの名だたる講師陣により、医師、医学部生に対して、サイコオンコロジー、コンサルテーション・リエゾン精神医学、緩和医学などの講義を行っています。また医学部6年生の選択性臨床実習においては、国立がんセンター東病院を研修協力施設として得ることで、同院で貴重な卒前研修を受けることが可能となっています。
卒後ローテーション研修の一環で精神科をローテートする研修医には、実際の症例の診察の陪席、講義などにより、コンサルテーション・リエゾンとサイコオンコロジーに関する必須知識の習得が可能となるような教育システムを設けています。
精神科レジデントに対しては、総合病院に赴任した際に求められる臨床知識、臨床技能が身につくよう、指導医によるスーパービジョンを受けながら患者を担当します。またケースカンファレンスでは、診療で生じる疑問や困難を解消したり、貴重な経験を分かち合ったりできるよう、フランクな雰囲気作りを心がけています。
また大学院生に対しては、本領域に関する臨床研究の実施から論文発表までの指導を行っています。
サイコオンコロジーグループ 週間予定表
|
|
日時 |
場所 |
備考 |
|
CLチーム
ケースカンファレンス |
毎週月曜日
7:30 |
精神科
カンファレンス
ルーム |
CLチームがその時点で担当している全患者について、電子カルテ回診を行います。 |
|
緩和ケアチーム
ケースカンファレンス |
毎週月曜日
17:00 |
精神科
カンファレンス
ルーム |
緩和ケアチームがその時点で担当している全患者について、電子カルテ回診を行います。 |
|
多地点
サイコオンコロジー
ケースカンファレンス |
毎月第4木曜日19:00 |
精神科
カンファレンス
ルーム |
TV会議システムを用いて、国立がんセ中央病院、東病院、九州がんセンターなどの精神科医とカンファレンスを行います。 |
|
サイコオンコロジー
リサーチミーティング |
毎週水曜日
17:30 |
精神科
カンファレンス
ルーム |
現在当グループで計画中、あるいは実施中の研究について検討します。 |
|
サイコオンコロジー
研究会 |
第2,第4水曜日
18:00 |
精神科
カンファレンス
ルーム |
|
|
緩和ケアチーム
ベッドサイド
ラウンド |
毎週金曜日
14:00 |
担当患者のうち最上階の病棟から開始 |
緩和ケアチーム全体で行います。 |
スタッフ紹介
・明智龍男(准教授)
1964年広島生まれ。1983年広島学院高等学校、1991年広島大学医学部卒業。広島大学医学部付属病院、日本医科大学付属病院、呉医療センター・中国地方がんセンター、広島市立広島市民病院を経て、1995年から2004年まで国立がんセンターで精神科医として、サイコオンコロジーの臨床、研究に携わる。2004年4月より現職。
所属学会等
日本サイコオンコロジー学会(常任世話人)、日本緩和医療学会(評議員)、日本総合病院精神医学会(評議員)、日本精神神経学会(会員)、日本癌治療学会(会員)、Academy
of Psychosomatic Medicine(会員)、International Psycho-oncology Society(会員)
日本精神神経学会指導医
・奥山徹(講師)
1969年大阪生まれ。1987年桐蔭学園高等学校、1994年長崎大学医学部卒業。2000年東海大学大学院修了。東海大学医学部付属病院、国立がんセンター研究所、M.D.
Anderson Cancer Centerなどを経て、2005年4月より名古屋市立大学病院勤務、2007年4月より現職。
所属学会等 日本サイコオンコロジー学会(世話人)、日本緩和医療学会(会員)、日本総合病院精神医学会(評議員)、Academy of
Psychosomatic Medicine(会員)、International Psycho-oncology Society(会員)
精神保健指定医、日本精神神経学会指導医、日本総合病院精神医学会専門医
