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がんセンター精神腫瘍部


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名市大精神科(Japanese)
 
Department of Psychiatry
Nagoya City University
Medical School
Mizuho-cho, Mizuho-ku, Nagoya
467-8601 JAPAN
Phone: +81-52-853-8271
FAx: +81-52-852-0837
 

2004年

藤田晶子先生(名古屋市立大学医学部大学院生、2004年1月13-16日研修)

bulletかねてより精神的負担を有するがん患者さんの精神科コンサルテェーションや多職種によるチーム介入を行っているがんセンターでの臨床場面に非常に興味を持っておりました。この度は名古屋市立大学古川教授の御好意により、東病院に2.5日 又中央病院に1.5日の見学をさせて頂くことが出来、深く御礼申し上げます。
bullet病棟では臨床レジデント(6年目精神科医師)、チーフレジデント(7年目精神科医師)とともに初診患者さんを含めて副科で対応している患者さんの診察を見学させていただきました。適応障害、大うつ病、せん妄と言った3大疾患が中心であり、かなり一般の総合病院とは症例の割合が異なっている印象を受けました。どの先生も時間に追われお忙しい中1症例1症例を丁寧に時間をかけて診察されていらっしゃる印象を受け驚きました。また看護師等のパラメデェカルにも患者さんの症状・対応に関して十分な説明をなさり、この毎日の積み重ねがより良いチーム医療に繋がるのだなと実感いたしました。カルテの記載に関しては時系列ですべての科が書き込んでいく形式をとっていたり、面談ノート(これはムンテラの内容を2重複写の用紙に記載し一枚は患者用もう一枚はカルテ保存用とするものです。)があったり病院の特殊性もあるとは思いますがより情報の処理がしやすいようにいろいろな面での工夫がなされていることに驚きました。
bullet外来では明智先生の外来を見学させていただきました。コンサルテーションの敷居の低さを感じたことをお伝えすると、がんセンターでさえもかつては高い敷居があったこと、精神科・精神腫瘍学スタッフの日々の努力の積み重ねで9年と言う長い時間をかけ、現状の優れたリエゾンが行えるようになりつつあることなどをお話いただきました。そのためには精神科医が他科の医師と同等に渡り合うことが最低条件であり、それはリサーチであるとか臨床スキルに関しても精神科だからと言う甘えがけして許される場所ではないのですとおっしゃった言葉が印象深く残りました。また文章にするとそのすばらしさが薄れてしまいそうなのですが、診察室に入ってから退室されるまでの患者さんに対する細やかな接し方や、御自分の時間を割いて患者さんの一言を待つと言う臨床医としての姿勢に深く感銘を受けました。
bullet4日間と言う非常に限られた期間ではありましたが非常に有意義に過ごさせていただき、今後の自分自身の臨床・研究にも役立てたいと強く感じることが出来ました。 古川先生はじめ名市大諸先生方に重ねて深く御礼申し上げます。
bullet又、リサーチレジデントの予演会に出席させていただいた際には、内富先生・明智先生をはじめ全先生方が、がんセンター、すなわちナショナルセンターとして恥ずかしくないものを世界に出そうと積極的に意見を出されていたことに精神腫瘍学研究所全体のレベルの高さをひしひしと感じました。この雰囲気は多地点テレビ会議の際にも感じることが出来、患者さんにより良い医療を還元することを目標に、症例の診断や薬物療法・効果判定に関して細かな討論を聞かせていただくことが出来ました。ジャーナルクラブを行うことによりすべての医局員が最新の論文の知識・情報を身につけることが出来るだけではなく、実際のテレビ会議でもこの知識に基づいた討論がなされており驚きました。

高野正人先生(名古屋市立大学病院研修医、2004年1月19-23日研修)

bullet外来にて
内富先生、明智先生、中野先生の外来を見学させて頂きました。 診察のスタイルは各先生方ならでは特色にあふれ、興味深いものがありました。 内富先生の、患者さんを見つめながら、そのお話を懐深くじっくりと聞かれる御様子、 明智先生の、患者さんに対する物腰柔らかな応対と、患者さんへの深い共感、 中野先生の、患者さんにとことん付き合っていこうとされる姿勢と語り口、 とても印象に残っております。また、診察にはご本人はもちろん、既になくなられた患者様の家族にも、そのサポートが継続的に行われている様子を目の当たりにし、深く感銘を受けた次第です。
bullet病棟にて
東病院、中央病院、緩和ケア病棟を通じて、最も印象に残ったのは、中央病院での独立した緩和チームの存在でした。精神科チームが緩和チームと共に、一体となって担癌患者の苦痛緩和に努める姿を拝見でき、率直に感動致しました。しかも、緩和医療とは末期癌患者だけに施される特別なものではなく、苦痛を抱えるあらゆるステージの癌患者におしなべて行われるべきもの、そうした全くもって理想的な環境や思想がスタッフ全体に行き届いていることに、正直驚きを禁じ得ませんでした。緩和医療は緩和病棟の中で行われる特別なこと、未だそうした考えが支配的であろう市中の病院へ、こうした意識をどれだけ植え込むことが出来るのか、この先の大きな課題を見つけたような気がしました。
bullet研究所にて
まずもって驚いた事はと言えば、review clubの密度の濃さをおいて他にありません。しかし、逆を申せば、現在の癌研究の一翼を担っていく上で、しかも癌治療の専門家と互角に渡り合うには、それ相応のスピードと情報量を持ってあたるのは至極当然なのかもしれない、そんな身の引き締まる思いが致しました。 この他、私はコミュニケーションスキルトレーニング(CST)に参加する機会を得ました。また、病棟ナースとのせん妄についての討論会にも出席することができました。いずれも、癌患者と接するスタッフの問題意識と、対応能力の高さを試される場面でもあります。CSTはまだ準備段階でしたが、こうした研修会一つ開催するのにどれだけ綿密な下準備が必要かということを痛感しました。せん妄の討論会でも非常に中身の濃い議論が行われ、ナースたちの”どうすればいいか”という真剣な思いが伝わってきて、非常に有意義な時間を過ごすことが出来ました。
bulletさいごに
今回の研修は、今後の私に一つの方向性を与えてくれる、大変有意義なものとなりました。柏の研究所はとても落ち着いた雰囲気で、研究をするのに非常に恵まれた環境のようにも思いました。最後になりましたが、5日間お世話になりました内富先生、明智先生をはじめとする緒先生方に、厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。

鳥井勝義先生(名古屋市立大学病院研修医、2004年1月26-30日研修)

bullet今回のがんセンターでの研修は、東病院で4日、中央病院で1日、病棟と外来見学、研究会への参加をさせて頂きました。研修期間中は、他科との連携はどのようにするものなのか、サイコオンコロジーとはどのようなものなのかについて、実際に目で見て学ぶことを目的に研修させていただきました。そのなかで自分なりに感じたことを以下に簡潔に述べさていただきます。
bullet精神科へのコンサルトが他科からあった際には、依頼医の依頼の目的を理解し、患者様にとって一番必要なのは何であるかを把握することが、一番大切なことであると思う。それらを実現させるために精神症状はもちろんのこと、身体症状や環境因子等を含めた多次元的なアプローチが必要となる。がんセンターでは、実際の患者様の情報収集には、患者様、主治医、病棟の看護士や家族からの聴取、カルテ、検査データのチェック等あらゆる手段を用いて行い、精神科以外の他のスタッフとの話し合いを積極的かつ頻回に行うことにより、お互いの考えを確認しあっていたように感じました。また方針に関しても関係者にわかりやすく説明している姿をよくみかけ、説明の重要性をあらためて、感じさせられました。そのためには、診療の合間に勉強し、精神科の専門的知識を常に最新の状態にしておくだけでなく、精神科領域以外の知識に関しても最低限の知識を修得し、両方の側面から考えるくせを身につけておくことも必要であると思いました。
bulletまた、最初のコンサルトの対応によっては、今後その医師やその科からのコンサルトが完全になくなってしまう可能性もあるため、非常に慎重な対応が求められるように感じました。この対応を間違えると最悪の場合、精神科の信用がなくなり、自分自身が働きにくくなるだけでなく、患者様にとってよくない環境になってしまうことが予想されるため非常に重要であると思いました。
bullet次にがんを罹っている患者様の心のケアをする際には、看病する家族の心のケアも同時にしなければならないと思いました。仮にある患者様が永眠されてしまったとしても、その家族の人生はその後も続いていく。その後の人生を心身ともに健康な状態で送るためには、看病している時からケアすることが大切なように感じました。具体的なケアとしては、看病による身体、精神的な負担、家族の置かれている状況、将来に対する不安などあらゆることを理解するように努め、改善できることは改善していくことにより、少しでも安定した精神状態にすることが求められているように思いました。
bullet上記に述べたことは改めて実践しなければならないようなことではなく、現時点でできていなければならないことであると思いますが、今後より意識して行うために、あえて今回の研修での感想とさせて頂きました。研修中に「我々は、当たり前のことを当たり前にしているだけですよ。」とおっしゃっていたが、その言葉の影に隠された努力、苦労がたくさんあり、その集大成が、現在の国立がんセンターの精神科そのものであると感じました。
bullet最後になりましたが、このような機会を与えていただいたこと、お忙しい中親切に指導していただいた全ての関係者の方々に感謝したします。

神垣いづみ先生(名古屋市立大学病院研修医、2004年2月2-6日研修)

bulletリエゾンの経験が今までなかったこともあり、がんセンター精神腫瘍部での研修はとても興味深いものでした。
bullet外来に関しては、東病院での明智先生の外来を見学させていただきました。(内富先生と中野先生の外来は先生方の都合で拝見することができませんでした。)患者様を診察室に迎え入れられる時から、その動きや言葉ひとつひとつに充分な注意を払われ心身面から理解しようとされている姿が印象的でした。患者の言葉をゆっくりと待つ姿勢の大切さも痛感しました。加えて、様々な苦悩・焦り・悲しみ・日々の営みなどに対して、丁寧に支持的な言葉をかけていらっしゃる点もとても勉強になりました。  東病院の病棟では清水先生に、中央病院では秋月先生に同行させていただきました。精神症状としては大うつ病性障害、適応障害、せん妄が大半を占めており、頭頚部がんや乳癌の再発・転移、胃癌(特に若年者)の患者様へのリエゾン依頼が目立っていました。身体疾患の状態や治療内容も充分に把握した上で精神症状の診察・治療がなされていて、身体科の医者や看護スタッフからの信頼を精神腫瘍部が得ている訳はここにあると痛感した次第です。
bulletワークカンファでは清水先生の〝The Nurse-Assisted Screening and Psychiatric Referral Program〟:精神科治療が必要と予想される患者様への介入の糸口として、入院時の質問票と看護サイドがどのように機能しているか、という研究発表を拝見しました。 精神腫瘍部以外の研究・臨床の先生方からも活発で鋭い意見や指摘がなされており、他領域同士でのdiscussionによりお互いの臨床・研究のレベルアップを図っていること、研究が臨床にフィードバックされ臨床の中で研究が進められていることが印象的でした。精神腫瘍部の研究会では臨床レジデントの2人の先生が20余りの論文のアブストラクトを要約し紹介されていましたが、臨床と研究の多忙な中でup-dateな情報を臨床に役立て続けることへの努力を惜しまない研究所のエネルギーに驚いた次第です。
bullet加えて、年に一度のCSTに参加させて頂く機会を得ることができました。CST(Communication Skill Training)とは医者が患者にBad Newsを伝えるスキルトレーニングで、医者役に加えて患者役も経験することにより、告知をうける患者の気持ちを理解する努力をしながらトレーニングできるようになっています。参加された先生方はがん告知の機会の多い外科医の先生が主で、患者役で体験した気持ちを話し合いながら、より良い告知のありかたを模索されていました。このトレーニングは、医師の面接技術や共感の要素ががん患者のストレスや満足感に大きく影響を及ぼしているというエビデンスに基づくもので、がん患者の精神症状発現に間接的に予防的介入をするという着眼点に驚きました。
bullet今回の研修では、リエゾン精神医療において、精神科スタッフと身体科スタッフが協力しあいながら治療を行うことがいかに可能であるか、また、より良い医療のためには研究と臨床の両輪が必要であるということを痛感した次第です。この機会を与えて下さり、ご指導下さいました国立がんセンター精神腫瘍部の先生方やスタッフの方々、また古川教授や医局の先生方に心より感謝いたします。

鎌尾貴裕先生(名古屋市立大学病院研修医、2004年2月9-13日研修)

bullet平成16年2月9日~14日まで研修に行きました。間に1日休日があったため、3 日間柏のがんセンターで、1日築地のがんセンターで研修しました。4日間というこ ともあり、それほど勉強にならないかなと思っていましたが、結果としては非常に有 意義な研修になりました。一番良かった点は、精神科はリエゾンで他科と関わるので すが他科の医師やナースとコミュニケーションが非常によくとれているところです。 他科に医師とは直接話すこともあれば、院内PHSで連絡をとったりもします。名市大 では電子カルテになってからメールで連絡を取りやすくなったものもまだまだかなと 思います。また、ナースとコミュニケーションが良く取れているので患者の状態も把 握しやすく、何かあった時にナース側からも連絡しやすい環境にもなったいます。リ エゾンを行うにはとても重要な点であり、明智先生が来られてからは名古屋市立大学精神科はさらに良い方向に変わっていくと思います。

前沢久慈先生(聖隷浜松病院精神科医、2004年6月9-11日研修)

bullet今回の国立がんセンターの見学はこれから先、精神科医として働いていくうえで非常に有意義な体験をしたと思っております。がんセンターの先生方の知識の豊富さや勉強量はもちろんですが、何より患者さんに対するときの真摯な姿勢に感銘を受けました。座って目線を合わせて話したり、相手の訴えをよく聞くことなど基本的なベッドサイドマナーではあると思いますが、自らを振り返ると出来ておらず、その大切さを痛感しました。緩和ケアの一員としてはもちろんですが、一精神科医として患者さん一人一人に対して何ができるのか、何をすべきなのかといっ た事も考えさせられた3日間でした。ぜひ今回の見学で得たものを今後に生かしていきたいと思っております。このような機会を与えてくださって感謝しています。

 

2003年

田中康治先生(名古屋市立大学病院研修医:2003年8月4-8日研修)

bullet国立がんセンターと言えば築地にある中央病院を思い浮かべる方も多いと思いますが、東病院は千葉県柏駅からバスで20~30分程行った所にあります。病院の周囲には東京大学柏キャンパスやJリーグ柏レイソルのホームスタジアムのある柏の葉公園等があり、あまり住宅等はなく非常に静かで閑散とした空間の中に大きく病院が居を構えているという印象を受けました。
 
bullet私が訪問させて頂いた精神腫瘍学研究部は、この東病院の病棟に併設された研究所支所の3Fにあり、部長である内富庸介先生を中心に研究や東病院での臨床活動をされています。今回私は研修期間が短い事もあり、東病院で実際に行われている臨床活動を中心に見学させて頂くことになりました。
 
bullet外来では、内富先生・明智先生・伊藤先生の診察場面を見学させて頂きました。がんセンターの外来はがんセンターを退院された患者さん及び家族(入院中に亡くなられた方の家族も含む)が受診されるため、大うつ病性障害と適応障害に罹患している方の割合が多く、一般病院の精神科外来を受診される患者さんの疾患割合とはかなり異なっている印象を受けました。また全ての患者さんが癌の罹患という大きなライフイベントを抱えているため、診察時間を長くとれるように配慮されていました。そのため先生方それぞれの面接技法・態度等の特徴が現れやすく、非常に勉強になりました。
 
bulletまた病棟では、レジデントである岡村先生と一緒に行動させて頂き、回診・精神腫瘍部及び緩和ケア病棟でのカンファレンス等に参加させて頂きました。病棟の患者さんは25名ぐらいの事が多く、大うつ病性障害・適応障害及びせん妄を患っている方が多いという特徴がありました。全ての患者さんが癌に罹患している事から、精神科の医師であっても身体面の理解が必要とされ、またそれは他科の医師の精神面に対する理解に関しても同様です。そのためカルテが全科統一であったり、病棟のレジデントの先生方がお互いの科で研修されたりするなど、病棟で働く医師が、患者さんに関するより多くの情報・知識を身につけ、より素晴らしい医療を提供しようと勉強されていました。また週に1回全国各地のがんセンターを結んで多地点症例検討会(いわゆるテレビ会議のようなもの)が行われているのですが、そこにも精神科以外の医師が参加し積極的に勉強されていました。
 
bulletまた誌面の関係から紹介出来ませんが、精神腫瘍学研究部では、がん患者さんの抑うつの有病率とその関連要因の解明・がん患者さんの精神的負担に対する効果的介入法の開発・進行がん患者さんの難治性症状の評価法とその効果的介入法の開発・がんの罹患や生存に関与する心理社会行動学的要因の同定等を中心に様々な研究活動が行われています。今回の訪問でがんセンターで実際に行われている臨床及び研究に触れ、今まで漠然としていたサイコオンコロジーという分野に対する理解を深める事が出来ました。内富先生をはじめとするお世話になった精神腫瘍学研究部の先生方、及び今回の訪問を快諾して下さった名古屋市立大学精神科教授の古川先生に感謝いたします。

小田切拓也先生(海南病院研修医、名古屋市立大学病院精神科で精神科をローテート研修:9月22-26日研修)

目標

① 腫瘍という身体疾患を持った患者の精神・心理的問題への適切な評価と治療方針を理解する。

② 研究の現場を見て、臨床研究の実際を見る。

結果

① 当初担癌患者に希望を持ってもらうのは難しい、との感想を持っていた。これは主に緩和ケアで問題になることであった。初日に間違えて緩和ケア病棟での回診に参加させてもらい、アプローチの仕方はあるかな、と思った。例えば実存的な問題に答える以前に、これが精神疾患による(適応傷害も含めると)ものか評価する必要があること、担癌患者の心理変遷をきっちり捉える事で対応の仕方がある程度考えられる(特にbreaking bad newsを読んでから少し分かる気がした。)。それでも担癌患者の精神疾患はやはり治りにくい、ということだった。自分の見学した範囲ではせん妄が多く、身体的背景(しかも治せない可能性があるもの)があり、大変難しいと思った。セレネースを一日4A使っている人もいた。またうつ病の治療でalprazolamをよく用いていた。軽症鬱に対してevidenceがあること、即効性であること、副作用があまりないことからであった。腫瘍患者に対する治療法がある、と知り驚いた。

② 当初あまり研究に興味がなかったが、実際に行っている方(全員だが)を見て、その士気の高さに感銘を覚えた。研究自体はまだ有病率や評価尺度の段階で治療に対する段階に入っていないように思われた。しかし日常臨床から研究へと結びつけるアイデアや、常に標準的評価・治療で研究に耐えうる臨床を行うことの重要さを知った。特に世界をtargetとし、自らevidenceを出す、という消費者に止まらないcreativeな姿勢は、将来自分も目指したい、と強く感じた。給料が安いので、現在の海南病院で来年以降貯金をしなくては、と思った。

謝辞

今回様々にご迷惑をお掛けしましたが、内富先生・明智先生をはじめ諸先生には丁寧に教えていただき貴重なお時間を割いていただき、ありがとうございました。清水先生には初日からずっと回診を見させて頂いたり、他の先生に自分に教えてくれるよう段取りをして頂いたり、大変お世話になりました。本当にありがとうございました。

三輪高之先生(尾西病院精神科医師:2003年11月10-14日研修)

bullet今回の見学研修で勉強させていただいたことに関して、 御礼の気持ちとともに御報告をさせていただきます。
 
bullet1つ目は、がんセンターという病院での精神科診療全体が、新鮮であったことです。 例えば、カルテは他科とも同じ物を用い、一人の患者での時間軸を1本にしていること。 私が今まで経験した範囲では、初めてみるものです。 もちろんどれが正しいとかいうものではないのですが、 一人の患者で病気の内容や部位ごとで科毎にカルテを用意するより、 一本化している方が「病気」よりも「患者」を見ている要素が強いと感じました。 そして、他科のドクターから精神科への依頼が自然なかたちで行われていること。 身体科のドクターが、患者の精神症状に対して、 「がんと言われてショックなのは当たり前だ」とか「つらくて当然」などと捉えず、 積極的に精神科にコンサルトしていると感じました。 このあたりに、精神腫瘍部の先生方の地道な努力が結果として現れていると感じました。
 
bullet2つ目は、がん患者に対する精神療法について学べたことです。 「病気を受け入れなさい」といった指導的なものではなく、 患者の気持ちに共感し支持したり、 患者が家族や主治医に話せず悩んでいることを聞くことで、 ストレスを軽減することができたり。 面接法について学ぶべきことが多かったと思います。
 
bullet3つ目に、薬物療法についてです。 抗ガン剤と向精神薬の併用などでは、代謝酵素や有害事象の問題が多いため、 注意する点が多いと感じました。 どちらも血中濃度が上昇すると有害事象が多く出現しやすいなどの点で、 非常に参考になりました。
 
bullet4つ目に、臨床研究の現場を垣間見れたことです。 私自身はまだ専門や研究課題を見つけられないでいるのですが、 研究のカテゴリーの一つとして、臨床研究を見ることができました。 精神科における臨床研究では、研究デザインが重要なことや脱落が多いことなど、 改めて実感しました。
 
bullet他にも色々と勉強させていただきましたが、主なものを御報告させていただきました。 このような見学研修の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございました。

小川成先生(名古屋市立大学病院研修医:2003年11月17-21日研修)

bullet今回は東病院にて4日、中央病院にて1日見学をさせていただきました。以下に病棟、外来、研究面について感想を述べさせていただきます。  

① 病棟  東病院では清水先生、岡村先生に、中央病院では秋月先生に指導していただきました。また、回診時は内富先生と明智先生に指導していただきました。末期がんの患者さんに対するアプローチを実際に見学させていただきましたが、落ち着いている患者さんが多かった印象です。もちろんそこに至るまでには様々な葛藤があったのでしょうが、それを乗り越えて穏やかに過ごしておられることに、人間とはここまで強くなれるのだろうか、と思わざるを得ませんでした。それから、サイコオンコロジーについては、用語は知っていましたが具体的な内容についてはほとんど理解しておりませんでしたが、病棟での先生方を見学していて感じたのは精神療法的な要素が非常に大きいということです。さらに、内富先生も回診時に仰ったように死について考えるということが要求される分野でもあると思います。これらは末期がん患者という死を目前にした人間を相手にする仕事である以上必然的に要求されるものなのでしょう。また、私もリエゾンは真似事程度にやってはいるのですが、経験豊富な先生方のリエゾンを間近に見ることができ、ムンテラの仕方や言葉の使い方など参考にさせていただこうと思っております。  また、中央病院では緩和ケアカンファを見学させていただきましたが、医療スタッフ全員が対等の立場でディスカッションしているのが印象的でした。

 ② 外来  東病院では内富先生に、中央病院では中野先生に指導していただきました。お二人とも一人一人の患者さんに時間をかけて診察されている印象でした。内富先生は体重を必ずチェックされているのが印象的でした。精神面と身体面の両方をチェックできる、と教えていただき、私も外来での業務に取り入れてみようと思いました。

③ 研究   予演会を見学させていただきました。内容面では正直ついていけない部分もあったのですが、方法論的な部分やプレゼンのわかりやすさなどについてきびしい指摘がなされている点はリサーチセンターならではのシビアさだと思いました。また、内富先生が「ナショナルセンターに在籍する人間としてワールドスタンダードを提供する義務がある」という趣旨の発言をされていて、これには研究面でも高いレベルを要求されている緊張感がうかがえました。

最後に、お忙しい中指導していただきました内富先生ほか諸先生方に感謝します。

李聖英先生(緑市民病院精神科医師:2003年11月24-28日研修)

bullet現在総合病院に勤務しており、がん患者さんの依頼を何度か経験していたため、かねてより一度サイコオンコロジーに関するしっかりとした知識を勉強したいと思っていました。古川教授よりがんセンターでの研修の話を伺い、日本でサイコオンコロジーの最先端である国立がんセンターを是非見学したいと思い、東病院に4日、中央病院に1日研修する機会をいただきました。
bullet今回は外来、病棟診療を主に見させていただきました。外来診療でも病棟診療でも感じたことなのですが、初診の患者さんはもちろん、再診の患者さんにおいても一人一人に対し十分な時間をかけて、じっくり話を聞くという態勢だったことです。患者さんが話し終わるまで余裕を持って話を聞き、その後にゆっくりと話しかける、診察が終わって診察室を出られるまで見送る等、基本的なことなのですが特にがん患者さんにとっては、このゆっくりとした、落ち着いて話ができる雰囲気がとても大切なことだということを感じました。また、カルテについては一人の患者さんに対し、診療科ごとにページがわかれているのではなく、全ての科が時系列に書き込むといった形をとっており、その患者さんについての状態経過がよく分かりとても見やすいと感じました。薬物療法も、がん患者さんに対するアルゴリズムを教えていただき非常に参考になりました。研究面ではあまり見る機会が無かったのですが、リサーチスタッフの方々とお話する機会があり、全てにおけるレベルの高さにとても刺激を受けました。
bulletこの度は、がんセンターの皆様方には御多忙の中親切に御指導して頂き、誠に感謝いたします。また、今回の研修のため御協力してくださった名市大精神科医局の先生方にも感謝いたします。

古川壽亮(2003年12月16-18日研修)

bullet内富部長や明智室長からかねがねご様子をお伺いしておりましたし、また、教室の若い先生も非常によい刺激を受けて帰ってみえるので、厚かましくも私も3日ほど見学実習をさせて頂きました。上掲の多くの先生が感想を述べておられますように、臨床の丁寧さには脱帽ものであったのですが、ここでは私は主にリサーチ面で強く印象に残っていることに触れたいと思います。
bulletまずがんセンターはナショナルセンターですから、精神科のみならず全ての臨床科、および基礎研究部門と対等に渡り合って行かなくてはならないという良い緊張感があります。ナショナルリーダーである、そしてインターナショナルに発言して行くという気概が病院や研究所全体にあります。精神科だから英語にならないとか、臨床研究だから厳密には行かない、というような甘えがまったく許されない世界です。私が見学させて頂いた3日間でその雰囲気がもっとも現れていたのが、研究所全体のwork conferenceであったと思います。基礎から臨床まで、各科の俊英が出席し、歯に衣着せぬ批判が飛び交います。このようなwork conferenceで鍛えられたプロトコルであれば、すでに研究も半分出来たに等しいと言えるかも知れません。
bullet同じことが、多地点テレビ会議にも見られます。私がいた3日間でも、火曜日の朝一番、木曜日の午後、そして木曜日の夜にテレビ会議を利用した研究会が開かれていました。火曜日と木曜日の午後は全科のもので最大で全国16カ所を結んだものでした。木曜日の夜は精神科のみで、がんセンター東病院、がんセンター中央病院、四国がんセンターをつないだものでした。症例検討のレベルも高く、名市大もこのテレビ会議に参加できると良い勉強になると思われます。
bullet次に精神腫瘍部内ですが、上述の雰囲気の中で、リサーチレジデントだけでなく臨床レジデント、スタッフも系統的に研究を行っておられます。その一つの表れが、毎週(以前は週に2回とお聞きしました)行われているプロトコルミーティングです。ここでは各自が自分の臨床活動 and/or 研究の進捗具合を発表しなくてはなりません。いたずらに時間が過ぎて行くことが許されない体制になっています。また、研究所内もしくは所外で行われる発表については、随時予演会が行われ、発表に磨きがかけられます。何でも、精神腫瘍部ではすでに英文論文になった内容しか学会発表はされないそうです。発表しっぱなしに終わる研究もどきが多い自分たちが強く反省させられます。
bulletもうひとつかねてからおうわさはお伺いしていたが、実際の運用を見聞させて頂かないと何とも分からなかったものに、精神腫瘍部内のJournal Clubが挙げられます。Journal Clubなるものは多くの大学でも行われていると思いますが、精神腫瘍部のそれの特徴は、(1)部長、室長も率先して参加しておられる、(2)全員がサイコオンコロジーという共通の関心を共有しているので、テーマを絞りやすいし、またディスカッションになりやすい、(3)Nature, New Engl J Med, JAMAなどを始め全員が目を通すべき(もしくはJournal Clubで聞いたことがあるという状態になるべき)雑誌リストが決まっており、毎月それを繰り返して、目次と目立った論文をレビューする、というような点でしょうか。複数のエキスパートが共通の目標に向かって互いに高めあうという構図が伺えました。
bullet末筆ではありますが、フルに3日間(アフターまで含めて)お付き合いくださいました内富先生、明智先生他精神腫瘍部の先生方に御礼申し上げます。また、1週間にわたって大学を空けている間カバーしてくださった同僚の諸姉諸兄に御礼申し上げます。

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  ©1999-2005 Dept of Psychiatry and Cognitive-Behavioral Medicine, Nagoya City University Graduate School of Medical Sciences